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辺野古の埋立区域のサンゴは移植されているのか詳しく調べてみた

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NHK『日曜討論』で安倍首相が辺野古基地の土砂投入について「サンゴは移植した」と発言をしたことで波紋が広がり、Twitter上では安倍首相の発言が「大嘘」「一部のサンゴだけ」という指摘されるような内容な多く見受けられました。

今回はそれが真実なのかとういうことなども含めて、サンゴの移植を行っている沖縄防衛局が公開している資料を見ながら辺野古のサンゴについて調べてみました。

安倍首相の「サンゴは移植した」発言に沖縄県知事の玉城デニー氏も言及

2018年1月6日に放送されたNHK『日曜討論』で安倍首相が発言した辺野古の土砂投入についての発言は下記の通りです。

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「土砂を投入していくに当たってですね、あそこのサンゴについては、移しております。また、絶滅危惧種が砂浜に存在していたんですが、これは砂をさらってですね、これもしっかりと別の浜に移していくという、環境への負担をなるべく抑える努力もしながら行っているということであります。」

引用:2019年1月6日放送 NHK「日曜討論」


この発言がTwitter上で波紋を呼び、沖縄県知事の玉城デニーさんもこの発言に対してTwitter上で言及していました。


このツイートは約1万件近くリツイートされてネットや新聞の記事にもなったので、多くの国民の目に止まったと思います。

移植対象のサンゴはどんなサンゴなのか

まずは移植対象のサンゴについて

・どんなサンゴなのか
・合計何体いるのか
・どの位置に生息しているか


などをまとめてみました。

沖縄防衛局の資料を読むと移植対象のサンゴは3点に分けられています

小型サンゴ類:74,304群体
被度(海底面に占める生きたサンゴの割合)5%以上で0.2ha以上の規模を持つ分布域の中にある長径10cm以上のサンゴ類
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移植対象のサンゴは図の黄色の枠内に生息していて、主に右側(大浦湾側)に生息しているのがわかります。

沖縄防衛局:サンゴ類に関する環境保全措置 【サンゴ類の移植・移築計画(案)】

大型サンゴ類:23群体
単独であっても長径が1mを超える群体(群体とは数百以上の個体が集まったサンゴの塊のようなもの)

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深浅測量(ナローマルチ測量)の結果を用いられているので、少し図が分かりづらいですが、キャンプ・シュワブの位置からこちらも多くが右側(大浦湾側)に生息しているのがわかります。

沖縄防衛局:サンゴ類に関する環境保全措置 【サンゴ類の移植・移築計画(案)】

レッドリストサンゴ(絶滅危惧種のオキナワハマサンゴ):9群体
※オキナワハマサンゴは2017年3月21日に環境省が公表した『海洋生物レッドリスト(2017)』に掲載)

辺野古側に1群体
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辺野古側の埋立区域の外側に準絶滅危惧のヒメサンゴが1群体発見されましたが、沖縄県との協議(「平成30年度 普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会(第14回)議 事 録)」の結果、移植は行わず、護岸工事の際には汚濁防止枠を4重に設置する処置をとることになりました

大浦湾側に8群体
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(大浦湾側の埋立区域内にヒメサンゴが1群体発見されましたが、2018年の台風7号・8号の影響により消失したようです)

沖縄防衛局:「環境省版海洋生物レッドリスト」等への対応について
沖縄防衛局:平成30年2月 レッドリストサンゴ類の生息状況等について 

 

現在(2019年1月)の移植の進捗状況

現在(2019年1月)の移植は「③絶滅危惧種のオキナワハマサンゴ9群体」のみ完了しています。

沖縄防衛局は2018年3月20日に1群体、4月5日に8群体のオキナワハマサンゴの採捕許可の申請をして、今はもうお亡くなりになられた翁長雄志前知事が7月13日に許可を出しました。

そして8月6日に9群体移植されたことが発表されました。

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沖縄防衛局:平成30年8月 レッドリストサンゴ類の生息状況等について

残りの移植対象のサンゴは移植の許可を沖縄県に申請中

また、残りの移植対象となっているサンゴについては、現在約4万群体の移植の許可を沖縄県に申請していて、許可が得られ次第移植を行う予定です。

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沖縄防衛局:平成30年11月 サンゴ類の生息状況等について

しかし、2019年1月17日の沖縄タイムスの記事によれば沖縄県はサンゴの移植の申請に不許可の通知をしていて、昨年も不許可にした経緯があります

沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、県農林水産部は16日、沖縄防衛局が再申請していた埋め立て予定区域のサンゴを移植するための「特別採捕許可申請」3件を不許可と通知した。防衛局の違法な申し立てに基づいて、国土交通相が県の埋め立て承認撤回を執行停止(効力停止)としたことから、承認は撤回されたままとの認識を示し、サンゴ移植の「必要性が認められない」と理由を説明した。

今後、埋め立てを予定している大浦湾側の小型サンゴ類830群体、小型サンゴ類3万8760群体、大型サンゴ類22群体の計3件。防衛局は昨年4月に2件、6月に1件を申請したが、県は同8月に埋め立て承認を撤回したことから、同9月に不許可とした。

沖縄タイムス:2019年1月17日 「辺野古サンゴ 約4万群体の移植を不許可 沖縄県、防衛局に通知」

サンゴの移植を認めるとなると、必然的に埋め立てを認めることになってしまうので、玉城デニー知事を中心として埋め立てに反対している沖縄県は、サンゴの移植についてなかなか認めることはないとは思っています。

安倍首相の発言はそんなに問題ではない

では、ここで安倍首相の発言をもう一度記載しておきます

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「土砂を投入していくに当たってですね、あそこのサンゴについては、移しております。また、絶滅危惧種が砂浜に存在していたんですが、これは砂をさらってですね、これもしっかりと別の浜に移していくという、環境への負担をなるべく抑える努力もしながら行っているということであります。」
2019年1月6日放送 NHK「日曜討論」

安倍総理の言う「あそこのサンゴ」というのは、おそらくですが現在護岸で囲われていて土砂の投入が進んでいる辺野古側の埋立区域のことを言っていたのではないかと思います。

現在護岸で囲われている区域は下記の区域が該当します。

・2018年12月から土砂を投入し始めた「区域②-1」
・2019年3月から土砂を投入する「区域②」

赤線で囲われている場所↓
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画像:沖縄タイムス 2019年1月15日 「政府、2区域目にも土砂投入へ 3月 辺野古側33ヘクタール、月内に県に通知」


実写版↓
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画像:朝日新聞 2019年1月14日 YouTube 「辺野古への土砂投入、開始から1カ月 埋め立て連日進む」


移植対象のサンゴの生息地や進捗状況などは既に上で書いたと思いますが、
「区域②-1」には移植対象のサンゴはいなく、「区域②」のオキナワハマサンゴ1群体の移植はすでに終えています

一方、沖縄防衛局は(2)-1に隣接し護岸が完成している「区域(2)」と、大浦湾側で確認された希少サンゴの「オキナワハマサンゴ」9群体は移植している。

沖縄タイムス:2019年1月10日 「「あそこのサンゴは移した」首相発言が波紋 辺野古の土砂投入、県は反発」

つまり、現在護岸で囲われている中の保護対象のサンゴの移植は完了しているので、安倍首相の発言は特に問題はないことがわかります。

安倍首相の発言を「区域②-1」に限定すると不正確にはなる

安倍首相の発言では

土砂を投入していくに当たってですね、あそこのサンゴについては、移しております。

という言い方をしていたので、「あそこのサンゴ」を現在土砂を投入している「区域②-1」に限定すると、この区域には移植対象のサンゴはいなかったので「移植をした」という発言は少し不正確になってしまいます。

しかし、

・「区域②-1」と「区域②」は土砂を投入するための護岸がすでに完成されている

・「区域②-1」の後に続けて「区域②」に土砂を投入する予定となっている

ということを考えると、安倍首相の「あそこのサンゴ」が現在護岸で囲われている2つの区域を指していても、特に不自然ではないと思います

なので、この発言について「嘘」とまで書かれるのは少し安倍首相に酷なような気もします。

玉城デニー知事は辺野古全体の埋立区域のサンゴと解釈していた?

安倍首相の「あそこのサンゴ」が辺野古側の護岸が設置された埋立区域のことを言っていたとすれば、何も問題がないことが分かりましたが、
玉城デニー知事は安倍首相の「あそこのサンゴ」を「まだ護岸が設置されていない区域も含めた埋立区域全体のサンゴ」と解釈してこのツイートだったのではないでしょうか。

そうであれば、このツイートの文の意味は少し分かるような気がします。

しかし、それでも「だから私たちは問題を提起しているのです。」の文脈が少し理解できないです。

沖縄防衛局の資料を読んでいれば、正式な手順を踏んでサンゴの移植を行っていることはわかりますし、移植対象のサンゴの上から土砂を投入していることはまずありえないことがわかります。

なので、玉城デニー知事はおそらく沖縄防衛局の資料を読んでいなく、単純に「移植対象のサンゴがまだいるのにも関わらず、その上から土砂を投入している」と勘違いしていたと僕は考えています。

現在護岸で囲われているサンゴの移植を許可したのは前翁長知事の時ではあるので、玉城デニー知事がサンゴの移植について詳しく認知していない可能性はあります。

玉城デニー知事のこのツイートは多くの国民が目にしたと思うので、僕個人の考えとしては今一度このツイートの真意について聞いてみたいです。

サンゴの移植先はどこ?

Twitterを見ているとサンゴの移植先が気になっていたツイートも見かけたので、こちらも調べてみました。

サンゴの移植先は基本的に下記のようなことを踏まえて選定されています。

これまで得られた現地調査結果の情報や、沖縄県のサンゴ移植マニュアル等の既往資料の情報を踏まえながら、環境が類似し、同様なサンゴ種が生息するとともに、移植先のサンゴ群生への影響が少ないと予測される場所を選定し、最も適切と考えられる手法による移植を実施。

沖縄防衛局:平成30年5月 サンゴ類の生息状況等について

オキナワハマサンゴ9群体の移植先は公開されていない

すでに移植が完了している絶滅危惧種のオキナワハマサンゴ9群体の移植先は保護の観点から公開されていません

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沖縄防衛局:平成30年11月 レッドリストサンゴ類の生息状況等について

一般のサンゴの移植先は「中干瀬」及び「辺野古崎前面海域」

一般のサンゴの移植先は比較的近場である「中干瀬」、「辺野古崎前面海域」の2つが候補地としてあげられています

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沖縄防衛局:サンゴ類に関する環境保全措置 【サンゴ類の移植・移築計画(案)】

移植先は地形水深水質波当たり流れの状況などが考慮されて、それぞれのサンゴに合った移植先が選定されています。

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沖縄防衛局:平成30年4月 サンゴ類の生息状況等について

移植されたサンゴの現在の状況

すでに移植が完了しているオキナワハマサンゴの現在の状況ですが、最新(2019年1月)の沖縄防衛局の資料では9群体とも全て生きています

週2回の経過観察が実施されていて、その様子は文書や画像付きで公開されています。

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沖縄防衛局:平成31年1月 レッドリストサンゴ類の生息状況等について

部分的に白化したサンゴもいますが、回復や成長も見られているサンゴもいるので、現状では十分に定着していると判断されています

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沖縄防衛局:平成31年1月 レッドリストサンゴ類の生息状況等について

移植したサンゴが死んでいるという情報は間違い

Twitterを見ていると、移植されたサンゴの中には既に死んでいるサンゴもいるというツイートを見かけましたが、それは間違った情報です。(現在の2019年1月時点)

この資料の画像を目にすることがあるのですが、これは移植先にもともと生息していたサンゴであり、移植されたサンゴとは別のサンゴになります。

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沖縄防衛局:平成30年11月 レッドリストサンゴ類の生息状況等について

過去の沖縄のサンゴの移植の例

沖縄海域では過去にもサンゴの移植を実施していて、国(沖縄総合事務局)による事例が6件、県による事例が1件があります。

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沖縄防衛局:平成30年2月 サンゴ類の生息状況等について

今回の埋め立ての際に辺野古のサンゴについて言及するのはわからなくもないですが、沖縄県のサンゴは過去にも様々な都合で移植はされてきたということは移設反対・容認派の人達の共通認識であるべきだと思います。

最後に

以上、辺野古の埋立区域のサンゴについて書いてみましたがどうだったでしょうか。

まだ全てのサンゴの移植は終わってはいなく、サンゴの移植自体を沖縄県が認めていないので、これからどうなるかという話ではありますが、
防衛省の資料を見て率直に思ったのが、テレビや新聞の報道とは少し違うなということでした。

安倍首相の発言の「区域②-1」の解釈に至っては、正直書き方がやらしい新聞が多かった気がします。

その新聞を元にTwitterなどで発言している人も多くいるので、まずは元となる資料を読むことが大事だなと思います。